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ベルナルダ・アルバの家

公演が近づいてくると、日曜日が消え、土曜日が消え、過酷な世界に突入する。こうやって引きこもりながらも、外の世界の核心を表現しようということは何なのだろう。


先週、エレベーター企画の『ベルナルダ・アルバの家』を見た。オペラ・コンテンポラリーと称された作品は、小劇場ではなくクラッシックの世界で鍛えられた歌い手たちによって演じられていた。電球を入れたステンレスのすり鉢上ボウルのようなものを舞台一面にぶらさげて、その間を潜り、それを揺らしながら演じるという興味深い舞台で、質が非常に高かった。ただ高すぎてというか暗すぎてなのか、客席からいびきが聞こえてきて・・・苦かった。


スペインを代表する詩人、ガルシア・ロルカ原作の「ベルナルダ・アルバ」。アンダルシアのよい家柄の女であるベルナルダ、彼女には4人の娘がいる。敬虔なベルナルダは父親の死に際し、娘達に喪に8年ふくすことを命じ、部屋の中へ閉じ込めてしまう。年頃の娘達は、男に飢え、外気に飢え、自由を侵食されながら、漆喰の中で徐々に神経を高ぶらせていく。アンダルシアという土地がもたらすたちのぼる因習・・・そんなものがこの土地自体を病んだものにしている。そんな折、四十路にかかった上の娘に持参金目当ての若い男が近づき、結婚を申し込む。湿度の高い欲求不満を高まらせた女達の中に突然現れた若い男・・・・完結された壁の中という世界が軋み始める・・・


ロルカの世界は、なんともいえぬ因習の匂い、「香り」ではなく「匂い」がする。ムッとするような、花瓶の中の大量の花が部屋の中でむせているような、かび臭く、けれども高飛車な・・・・そんなロルカの世界を評した中沢新一の一文を抜いてみた。



ロルカの書いた詩はとても優しく、愛情にあふれているが、同時にその優しさは突如として激しい身振りに変わり、アンダルシア地方の土俗的な舞踏のような激しさのなかに、言葉たちまでがわれを忘れていくところがある。優しさから悲劇的な激しさへの、このエッジの鋭さを見ていると、それはたしかにスペインの舞踏や音楽の特徴とつうじているものを感じさせもするけれど、それよりも大切なのは彼の詩や言葉の精神が、詩をもおそれなかったスペインの禁欲的なカソリック聖者達のたましいと、深いつながりをもっているという隠された事実を見抜くことだ。(中沢新一「眼のオペラ」より)



ベルナルダ 

私は涙はきらいだ。死というものは真正面からみつめ、受けてめるものだからね。静かにしなさい!・・・・これからみんなで、海のように深い喪に服すんだよ。ベルナルダ・アルバの末娘は純潔のまま死んだ。わかったね、静かに、静かにしなさい!静かに!






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