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くっすん大黒

公演終了開放ムードと共に塞ぎこんでブログを放置・・・、,茜嬢と藤姫のブログが更新されていくのをダヤンのごとき眇めに眺めながら、居直りを決め込むこと数日。ついに尻を叩かれ更新を決意。


さてバンドの方であるが、舞台関係者の結婚パーティーにおよばれしたため、「白色テロル」は本日、最終リハ。最近はシンセの醍醐味というものに興味を示し、演奏技術の向上から切り替わって苦手な機械いじりというものに取り組んでいるのだが、これがまた四苦八苦。演奏の方は、リズム練の甲斐あってか、皆の呼吸がぴったりとはまり、グルーブ感がでてきている。


バンドといえば、自分は文学でも音楽性・・・を感じさせるものが好きで、デュラス、サガン、春樹、龍、三島、ランボー、クンデラ、全て何かの詩や音を思わせる。今回の芥川賞受賞者も歌手だということだが、最近の芥川賞受賞者なますます音楽化している傾向にあると思われる。というわけで今回はミュージシャンでもある町田康さんの「くっすん大黒」について書く。


「くっすん大黒」は名の通り、大黒さんにまつわる話だ。主人公(自分)はある日突然、思い立って会社を辞めブラブラすることを決意する。そうして、毎日酒を飲みながら、ぶらぶらしていたのであるが。ある日気付けば自分の顔は酒で変形し醜男になり、妻は出て行ってしまい、金は底をついている。そんな時、怠け者の自分のベット脇にいつも転がっている大黒の置物の存在を認めるのである。その大黒はそもそも構造が不安定ですぐに倒れてしまうので立て直してやってもすぐに転倒してしまうのである。自分はなにやら、そのいまいましい大黒を捨てようと試みるが上手くいかず、結局友人の菊池にやることにした。菊池というのは同じくブラブラ仲間なのであるが、その菊池も金に困っており、結局二人でバイトをすることになった。ところがそのバイトというもの破天荒なおばさんが奇行に興じる洋服店だったり、宗教がらみの変なドキュメンタリー番組の録画であったり・・・



町田はそもバンドマンであり、その後、作家として名をなした。先日布袋さんに殴られたとかで、大事件になったところだが、なんともアウトローな雰囲気は序盤から炸裂している。


「もう三日も飲んでいないのであって、実になんというかやれんよ。ホント。酒を飲ましやがらぬのだもの。ホイスキーやら焼酎やらでいいのだが。あきまへんの?あきまへんの?ほんまに?一杯だけ。あきまへんの?ええわい。飲ましていらんわい。飲ますな。飲ますなよ。そのかわり、ええか、おれは一生、Wヤングのギャグを言い続けてやる。君がとってもウイスキー。ジーンときちゃうわ。・・・・・」


と、最初からくるのだからたまらない。しかも主人公の(自分)はつげ義春に出て行きそうな覇気のない、なまくら男。無精を愛するがゆえに、ベットから降りない対策を抗じ、手の届く範囲に全ての必要物を配置する。金はないのだが、どうにも働きたくはない。強い精神を持ってアナーキーを標榜するということは全くなく、流されるまま、ただダラダラしている。様々な不条理厄災がおこったら、大黒のようにひょろんと倒れてしまうのである。というより倒れているのである。


初期谷崎にも通じよう、ナマクラ美学について一定の喜びを見出せる私としては、いたるところ共感を持って読みすすめる。むしろ安心感すらある。なんといってもこの不思議な文体というより、大阪弁口語体が奇妙な世界へいざなってくれる。登場人物が不条理でまたそれを受け入れていく寛容的な気分も大阪弁と相俟って良いのである。この本はそれこそ30分ぐらいで読める。気になればこれ、一読。







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