刺繍草紙

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白川の

ふっと後ろを向くと、顔面を巾着のように皺皺にしたひどい形相で疲労が追いすがってくる。振りほどいても、振りほどいても、全速力で走って逃げても、そいつは追いすがって、肩にまとわりついて背骨を丸くし、足にくっついてなまりのようにして、腕にぶらさがり、頬をひっぱり、首を絞めて蹲らせる。若い頃、バーのマスターに「若いのに疲労がある。貴方に疲労がなければ、才能豊かでどこへでも行けるのに」といわれたことがある。その時、あまりにもその通りだと思ってマスターのどんぐりのような目をまじまじと見たことがある。そうして私の人生はいつも疲労との戦いだ、鬼の形相の、しかし顔のない、灰色の、泥の、粘着質の疲労。

「さらばアイドル」から「金色夜叉オルタナティブ」まで舞台美術家としてレトルト内閣の作品創りに大きく関わってくれた西條の卒業展を見に行った。西條は現役の美大生でこの春卒業となる。ちょうど、公演が終ったら現代美術を見に美術館に行きたいと思っていた。200点以上あるという若いアーティストの迸りのようなものを見ていると背中にたまった疲労がぽたぽた落ちて、いつも共にある心地よい疲労とだけ手をつないでいるような気分になった。西條の作品は、彼女のプライベートの日記や観劇・拝観チケットや趣味である写経ノートの切れ端がコラージュされたようなものだった。大竹伸朗をふと思い出したけれど、もっと真摯で真面目で、写経のせいか妙に葛藤と悟りが同居しているように見えた。彼女の中にある渦や竜巻や井戸や空や浜辺が覗けた。

彼女は彫刻科だが、他のデザインや漆工、日本画、油絵、版画、修復、染色など順番に見てまわり、楽しい気持ちになって京都市立美術館をあとにした。平安神宮に行って、神宮の広大な造園を散歩して、白川から鴨川に戻り、先斗町の料理屋で鍋をつついた。

昔、喫茶店に篭って文章ばかり書いていた。2時間でも3時間でもずっと書き続けられた。
そのうちあまりに自慰的すぎる行動に嫌気がさしたけれど、また書いてみようと思う。
道化になれば、疲労は失せる。冬。

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道化になれる時間って大事です。

  • 19/02/2013
  • みうら♪ ♦-
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