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「トチ」の語源を答えよ 上

皆さん。
お(*^o^*)コ(*^_^*)ン(*^O^*)バ(*^_^*)ン(*^O^*)ワーー!

誰ですか「ついに、刺繍、トチ狂った!」と思った人・・

○それではここで問題です。トチ狂うの「トチ」の語源として適切なものを選びなさい

1説 土地狂う
(とち狂うの語源は「土地狂う」から来るものである。)

田殿間村のお兼は瓜実顔の美人で、輿入れした時は、古くは藩主の家の血筋であるとか、もとをたどればだれそれという大きな商家の娘で、借金のかたにやってきたのだとか色々と噂されていた。とはいえ、田殿間村の山村家といえば村一帯がその土地でしかとれない高級な花カボチャ畑をすべて所有することで大変潤っており、驚くほど大きな屋敷を構え、使用人も沢山いたことから、花見を装い、政府筋の人間やら、かの有名な商人やらがこっそり金を借りに来ると噂されるほどの大家であった。よって嫁に来たお兼ねも、都の暮らしにひけをとらぬ豊かな暮らしを補償されるはずであった。

ところがこのお兼、存外骨の太い娘で山村の家に嫁ぐやいなや「百姓の家に嫁に行ったからには、畑のことを知らずにはおりますまい」と言い放ち、旦那の弥助や使用人が止めるのも聞かず、そのほっそりした白い手に鍬をかついで野良仕事にせいを出すようになったのである。

この奔放な嫁の面倒を見たのが小作人のたろべえで、「奥様、奥様」とお世話し、苗床の作り方から、田植えの歌の節回しまでなにくれとなく教えて面倒をみたのであり、お兼ねの方も、年の近いたろべえを頼みにし、何かと「やい、たろべえ」と呼び寄せては、やれ、この虫はなんと申すだの、この青い芽はなんだとのと尋ねていたのです。

ところが、あんまり2人が親しくするもので、使用人の間でくちさがなく言うものもあり、山村家の旦那である弥吉はたろべえを快く思わない日々が続いていたのであるが・・・。

そんな、春うららかなある日、花カボチャの種を蒔いていた時、お兼ねが足首を毒虫に噛まれるという事件があり、傍にいたたろべえが大あわてでお兼ねの足首に口をつけ毒を吸い出したという事件があり、そのからから2人はどうやら深い仲になったという噂であった。

やがて時は太平洋戦争に突入し、かた田舎の村でもその影響を免れなくなり、たろうべえや弥助にもついに徴兵命令がやってくるようになった。弥助は戦争に多量の寄付金を納めていたこともあり、政府筋のツテもつかい、徴兵をまぬがれたものの、貧乏人のたろべえには断るすべもなく、やがては日の丸の海の中を、戦局厳しいビルマの方へ送られることになったのである。お兼ねは村のほとりの駅で、あたりかまわずたろべえの手をとり、千人針を縫いつけた下着と握り飯を持たせ、帰ってきたら必ず一緒になろうと誓うのであった。

やがてたろべえは終戦から一年も経った頃、無事に田殿間村へ戻ってきたのであったが、村境の峠を越えて歩いてくる軍服姿のたろべえを見て、お兼ねは履き物もとりあえず走り出たのであった。それは山村家の耳に入るところになり、おりしも長唄の練習中であった弥吉は、三味線のバチを畳のへりに投げつけて怒ったのであった。

ちょうどその頃、GHQの指導により農地改革なるものがなされ、山村の家もただ同然に花カボチャ畑を小作人の払い下げなければならなくなってしまった。弥吉はどうにかたろべえにだけは土地をやるまいと画策し、山村家の土地でほとんど死に瀕した神無沼近くの水浸しの土地をたろべえに無理矢理払い下げた。

お兼ねは「これではあんまりにもたろべえが可愛そう、あんな畑では米の一粒、ネギの一本生えますまい。餓死せよと申すのと同じ、無慈悲でございます」と弥吉に泣いて頼んだが、弥吉はお兼ねを殴りつけ「いつでも離縁してやる、たろべえと仲良く飢えて死ぬんだな」とうち捨てた。

お兼ねはその足でたろべえの部屋に走り、「私のせいで」と言ったっきり黙ってさめざめ泣いた。たろべえは「奥様、ご辛抱ください。私は村を捨て大阪へでも行こうと思います。闇市などはじめ金をもうけます。今は皆がなにもかもを失い、誰でも裸一貫でやる時でございます。私も男と生まれたからにはあなた様を一生懸命お幸せにしたい、一年お待ちください。必ずお迎えに参ります」と言ってお兼ねの肩を抱いた。お兼ねは「どんな苦労も苦労とも思いませぬ。後生ですから、私もお供させてください」と頼んだが、たろべえは黙って首を振るのであった。

そうして1年と数ヶ月が経ち、田殿間村に戻ってきたのは一つの小さな棺であった。なんでも闇市で知りあったパンパン娘と関係を持ったのが、その恋人であった米兵といざこざになり殺されたとか・・なんとか。棺が村に到着したその日、お兼ねは村の神無沼に飛び込んだ。釣りをしていた裳太郎に助けられ、なんとか一命をとりとめたものの、それがきっかけで肺病を患いやがて死んでしまったという。

その最後はずっとうわごとのように「土地が、土地が」呟き続け、末期に「土地が」と叫んでカット目を見開き息絶えたという。


中巻へ続く→

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