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その分類学は?

彼の名前は辻本と言いました。どういった男であったかというと、苫小牧大学の系統分類の助教授のそのまた助手であり、その職業の通り「分類すること」が病的に大好きな男でありました。小学校三年の時に空手道選手権で優勝したことを生涯の誇りとしておるような人物で、またMr.スミスに言わせると、「辻本君は最もこの世の役に立ちそうもない人物の一人」でもありました。その辻本がスミス氏の玄関にたった今、立っているのです。濃紫のネッカチーフで洒落た感じにキュっと首をしめ、そのリボンの先を空に尖らせて、左利きの左手には安物ワインをぶら下げておりました。スミス氏はそれを見ると反吐が出そうになりました。スミス氏にとって、この辻本は全く我慢ならぬ存在でありました。それというのもとある学長の就任祝いパーティーのことです。スミスの顔をじっと見つめた辻本は急に閃いたように両手をうつと、彼は「常にあなたは何かに似ていると思っていましたが、あなたは私が考察するところの原始紐舌目 タニシ科であるところのヒメタニシの精子にそっくりだ!」と掌を裏返して驚嘆してみせました。彼は全くの大真面目で、周囲は爆笑の渦に包まれ、つまりつまるところスミス氏は訳もわからず彼に赤っ恥をかかされたのでした。分類するならば、根に持つ性格の類とされるであろうスミス氏は辻本のことをこのままのさぼられてはおれぬと常に考えておりました。

ところでこの辻本、無類の分類好きで専門の無脊椎動物の系統分類だけでなく、日常のヤカンやお釜といったものから、トイレの汚れの種類まで分類が大好きでありました。彼の家の壁面は全て小さな引き出しの類で覆い尽くされ衣類だけでもYシャツ系、木綿製、タイ産、暖色系、赤色。装飾系、ネクタイ、絹製、柄あり、寒色系、青系統、紫紺・・・などと細部に渡るまで分類されているのででした



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