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倦怠アバンチュールを経て

今回は沢山のお客様にご来場いただき、また様々な方々から好評をいただき、ありがとうございました。まだ結成五年目の若い我々はまだまだ劇団としての試行錯誤を免れえず、また「小劇場の実験性」というものを尊重する考えも持ち合わせており、常に変革していく作品群であります。その中で今作品にある一定の評価を得られたということは、長きに渡り応援してくださった様々な方々、また見に来ていただいたお客様がたのお陰であり、ここに感謝の意を表します。

今作品は映像とのコラボレーションにおいて一つの形を打ち出した作品であり、またライブ演劇という音楽()(ロック)とのコラボレーションにおいても一つの結論を出した形となりました。またこの二つの形が明らかになることによって、特に今作品一つの完成を提示したのは「速度の美学」ではないかと感じています。


当劇団は第三回公演より、メランコリアともう一つの機軸として耽美主義をうたっていました。耽美主義はその後一貫して貫かれておりますが、「金色雀」「夢の花床」における二作品を見ると、自分の中で美に対する意識の明確な変革を感じます。「金色雀」に端を発する変革の特徴ははラストシーンが走馬灯のように流れるように走ってゆき、どこまでも続いて消えてゆくような錯覚に陥らせるという特徴を持ちます。「静止」よりも「疾走」、その滅びの速度に永久性を夢見るのです。走り去る車、消えてゆく記憶、逃走、疾走、暴走、これらのイメージが舞台で重要なポジションを占める作品。「金色雀」では暴走していく夜汽車、「夢の花床」では金を抱えてどこまでも走ってゆく女、そうして今作品「倦怠アヴァンチュール」ではうなりながら夜を滑ってゆく四輪駆動車。ヌーヴェルヴァーグの旗手、ゴダールの「勝手にしやがれ」や「気狂いピエロ」、ゴダールの再来といわれるレオン・カラックスの「ポンヌフの恋人」「汚れた血」、セリーヌの走りゆく口語的文章や、アルチュール・ランボーの破滅的で感覚的な文章、イメージを叩き込んでいく鮮やかな連打力。それらの影響を受けた多くの作品が今、自分における美へのイメージを大きく変革している。


古い話ではあるが1907年、イタリアの未来派、詩人フィリッポ・トルマンゾー・マリネッティは「未来派創立宣言」を発表し、そのなか「爆音をあげて疾走するレーシングカーはサモトラケのニケ像よりも美しい」という「速度の美学」を宣言した。その言葉に絶大な賛意を送りたい。

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