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hmp 「Rio」

hmp 「Rio」

日時 11月23日(祝・木)~11月26日(日)
   11月30日(木)~12月3日(日)

場所 精華小劇場

公式サイト↓

http://www.geocities.jp/hmp_director/



(岸田理生)

28歳の時、寺山修司に見出され、「身毒丸」や「草迷宮」などの傑作を共著する。寺山から独立してからも精力的な活動を続け数々の名作を生み出す。「糸地獄」岸田戯曲の代表作の一つ。岸田文体とも呼ばれるべき独自の詩的な文体を持つ。

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(糸地獄)

大正時代。製糸工場にやってきた繭という少女の母探しの物語。繭は「アタシ」を探すために糸を繰る、糸の先は仏壇の奥に繋がり、家という断ち切れぬ因習が伸びている。「糸屋」の裏側は売春宿で、「オンナ」という名前の消耗品たちがいる。社会の裏側に追いやられ、虐げられ、消耗されながらに日本の華やかな近代工業の幕開けを支えた女工たちの魂が叫ぶ、イエとオンナとアタシと幾重にも絡まる因縁を、糸地獄を、紡ぎ続ける物語。

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(Rio)

岸田理生はジェンダー・・言い変えれば「女」であるということを、自我の主たる構成要素として堂々と表現する女性作家である。Hmpの演出家は、物語の核である女の滲み出る怨念や浅ましさや日本的な「家」という概念やそれを取り巻く魑魅魍魎のおどろおどろしさが根底に滲み出る物語に対して、無機的で西洋的で男性的な演出方法で挑み、違和の壁を存在させた。それが非常に面白い効果を生んでいた。hmpの一作前の作品、フランツ・カフカの「流刑地」を見に行った。それもまた身体や呼吸、音等を使い、不慣れさ、馴染みのなさ、いわゆる異化効果を意識した演出であったものの、抑揚のない筋書き通りという印象を受けた。それが今回は演出と物語の中での対立を出すことで、小気味よく突き放した部分が逆に岸田戯曲とは遠くなってしまった現代の感覚とマッチしていたりして興味深かった。演出は立体的で縦軸や傾斜を意識したもの、激しい呼吸によって空間を操り一貫性と小気味の悪い感覚を与える。


岸田 理生
糸地獄―岸田理生戯曲集〈2〉

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母1 切りますよ

母2 切りますよ

男1 何を切るんです?

男2 何を切るんです?

母1 縁の糸をぷつり。

母2 縁の糸をぷつり。

男1 切れますか?

男2 切れますか?

母1 できますとも

母2 できますとも

母1 糸がね、赤い真っ赤な縁の糸が結べないんなら、いっそ切ります

母2 糸をね、赤い真っ赤な縁の糸を結ぼうとするんなら思い切って切ります

母1 嫌気がさして喉ついて、

母2 ざんばら髪の母一人、

母1 恨みの鬼火を袂に入れて、

母2 虚空を切り裂き、

母1 母2 ええ果てますよ。

男1 驚かさないで下さい。

男2 驚かさないで下さい。

母1 嘘や冗談で、

母2 こんなことしません。

母1 本気です。

母2 本気です。

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繭 やめて、と私、叫ぼうとした。だけど声が出てこない。足も動かない。わたしのうしろで誰かが糸を引いて、私を地面に縫いつけてしまった。体の中で、両眼だけが自由だった。まぶたを開けても閉じても、どっちでもよかった。そうして私は、見たんだ。自分で瞼を開けっ放しにして、見たんだ。見たくはなかったのに、見たんだ。

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松 生臭い風 春の風 春風

梅 艶めいて風 春の風 春風

霧 息の匂いの風 春の風 春風

松 春風がね 裾から入りますと

梅 肌と着物の間で ぬくめられて

霧 乳と乳の間を通って

松 胸元から 立ちのぼるときは

梅 少しばかり汗の匂い

霧 ほんのわずか 肉の匂い

松 白酒 もう一杯 いかが?

梅 ほんのちょっとね

霧 ええ ちょっとだけ

松 酔心地 とろりの白酒 飲みますとね

梅 白酒の匂い いかがわしくて

霧 男の残り香に よく似て

松 胃の腑が もぞり 動きます

梅 足の裏が ふふ こそばゆいです

霧 嘘ばっかり ゆれるのは あそこ

松 あそこ

梅 あそこ

霧 ええ あそこ

松 どのくらい 嘘ついたかしら

梅 山程 海程 嘘の数

霧 重ねてきた 女暦の

三人 身の上話の嘘の数

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繭 陽に乾いた一本道に女たちがいる。私がいて、私の母さんがいる。母さんのうしろには母さんの母さん・・・母さんがどこまでもつづいている。数珠つなぎの母さんたちの体と体を一本の糸がつないでいる。その糸を切れと母さんたちが私に言う。うしろのうしろの正面、そこにいるのは、のっぺらぼうのあんただ。私の鋏は、ふところに隠れたきりで荒い風に吹かれたこともなかったから、何かを刺すしかないだろうと思っていた。でも、母さんたちが私に命じる。糸を切って、と私に言っている。うしろの正面で糸をあやつる、のっぺらぼうの盲にしろと。



補足・・・お世話になった方々の公演でした。お疲れさまです。

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