刺繍草紙

logs

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

チェーホフ記念モスクワ芸術座公演 リア王 

12・21~12・23 新国立劇場中劇場

演出:鈴木忠志
原作:ウィリアム・シェイクスピア
出演:モスクワ芸術座

?

http://www.jpaf.or.jp/



その現代日本演劇界の巨匠とも言うべき演出家の鈴木忠志とリアリズム演劇の歴史を誇るモスクワ座との共同制作は2000年にはじまり、数本の共同作品を作っている。

?

鈴木忠志といえば、世界の前衛舞台を取り入れる数少ない急進的な演劇人として、日本演劇界の活性化を推し進めた人物である。独自の解釈で思い切った演出方法を取り入れた優れた演出家で、有名なスズキ・メソッドの創始者である。スズキメソッドは日本の能舞台・歌舞伎など古典芸能の型を取り入れて、すり足の姿勢で腰を低く落として演じられる、身体、発声などを機軸とする厳しい身体作りで有名である。

?

流石のモスクワ座の俳優陣営は言葉が分からなくても覇気として空気を振動させて伝えてくるのだから素晴らしい。公正に見たかったが、その歴史と近代演劇の始祖とも呼ぶべきモスクワ座に期待と偏見を持たずに観ることは無理である。歴史を背負いそれに耐えうる迫力の演技に拍手を送りたい。

?

?

衣装は日本の紋付はかまの型を基本にデザインした装束で、白ナース衣装も登場する。小道具や美術はほとんど登場せずに抽象的なものに留め、劇中のリア王は車椅子に座っている。リア王の長女、ゴネリル・リーガン・そして末娘のコーディーリアは全て男性俳優が演じている。日本の女形のような女性的な型も西洋リアリズム演劇における女性性のリアルもなく、どちらかと言えば鈴木メソッドによる荒々しく男性的な動きが主である。リアリズムの系譜を継ぐモスクワ座で俳優があえて女優を演じるということに不必要な詮索をしてしまいそうになるが、あえてそれは日本や西洋演劇の古典法則に乗っ取ったようだ。リア王の子供が息子ではなく娘だという所には必要以上の注意を払われていず、どちらかというと無機的であるが覇気のある演出で、空気に豪胆な揺さぶりをかけ客席に伝える。

?

この地球が病院で、世界に住む私たちは患者であるというのが鈴木忠志の世界観だそうで、リア王の演出もその視座から描かれている。普通のリア王のストーリー上に、病院が出てきたり、ナースが出てきて突然笑い続けるなどのシーンが組み込まれている。刺激的な要素に乏しく、それは鈴木メソッドがモスクワ座の俳優陣営とひとまずの完成を見た後、むしろ形骸化しているのでは?いわば型に堕しているのではないか・・という疑問を抱かせた。メソッドによらない自由度の高いリア王の方が舞台としては面白いのではないかという予感があった。とはいえ、舞台上で直角に曲がる鋭い動きや、すり足、歌舞く動作など随所切れ味のある型の面白さは型として必見の価値があった。 (




トラックバックURL

http://shisyw.blog81.fc2.com/tb.php/190-4ae5cec5

この記事へのトラックバック

この記事へのコメント

コメント投稿フォーム

Paging Navigation

Navigations, etc.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。