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竹内銃一朗 あの大鴉、さえも

独身男が三人がかりででっかいガラスの板を山田さん宅に運ぼうとしている。ところが親方が指示した場所に山田さん宅はなく、三条との表札があがっている。ああでもないこうでもないと右往左往する三人。独身男たちは主婦の友社で買った家計簿をつけ、銭湯で洗濯物し、電子ジゃーを枕元においてご飯のたける音を聞きながら幸福を感じ、500円も持ち合わせていないその日ぐらしのやもめ男たち。どうしようもなさが滲み出ている。最後にその三条さん宅は実は山田さん宅で、昔は清純派女優として、そして今はポルノ女優として活躍している三条ルミ宅であることが判明。しかしその三条宅には玄関がなく、再びガラス板を担いでうろうろする三人。


あの大鴉(大ガラス)、さえも。ちなみにデュシャンの作品に大ガラス「彼女の独身者達によって裸にされた花嫁、さえも」という運搬中にヒビが入ってしまったガラスのオブジェがあり、そこからきているらしい。


分かり易く言うと、ああでもないこうでもない、うろうろ、ウダウダで構成されている戯曲。ベケットを思い起こさせる無意味で不条理世界、そして必死に重みに耐えなくてはいけないという重圧感が重いガラス板を運ぶという作業で表現されている。岸田戯曲賞受賞作品。小劇場界に衝撃を持って迎えられた。



―山田さん宅は見当たらず、あたりはうっすら寒くなってくる。


独身者2 立ってみないか?

独身者3 立つ?

独身者2 立てるだろ

独身者3 立てるけど 立ってどうするんだ?

独身者2 歩くんだよ

独身者3 どこまで?!

独身者2 汗がでるまでさ

独身者3 行くあてもないのにか

独身者2 あてなんかなくていいんだよ 汗を出して冷えた身体を温めるのが目的なんだから これは



※竹内銃一朗

 早稲田大学文学部卒。1981年「あの大鴉、さえも」で岸田戯曲賞。2004年、紫綬勲章受賞 佐野史郎と「JIS企画」を主催。


あの大鴉さえも


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