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「レミング」 世界の涯まで連れてって

壁が消滅し、個と他者、現実と夢の境目がなくなってしまう。破滅を背に死へと旅する我々の後姿をレミングの大量自殺の神話になぞらえて描く。青森出身、日本演劇界が誇る天才、天井桟敷、寺山修司の代表作の一つ。



                                

寺山 修司
寺山修司幻想劇集


1 観客は都市に近づく
2 壁が消える
  中華料理の見習いコック、ワンが焼き豚の作り方をさらっているとき、部屋の壁が消えて金星と交信を試みる兄弟が見える
3 囲碁の都市計画
  消えた壁を訴えにきたワン、大家が四人もいて囲碁を打っている

大家1 その壁を
大家2 証明するものは
大家3 まず理性の高さである
大家4 一つの監房は
大家1 四枚の壁によって
大家2 構成される
大家3 四枚はいずれも
大家4 同面積
大家1 同一寸法
大家2 しかも立方体であると
大家3 想像される
大家1 どのマス目も独房であるから二人以上はいることは出来ない 房の数は四季九十ずつで三百六十日 一年は三百六十   

五日であるから わずか五日の猶予が与えられる。官房すなわち 深志の立方体は 出口のない密室であり 壁面には釘の頭ほどの手がかりもないので 蝿男もよじのぼることができない 仮にその壁に番号をふると 壁1は壁2の過去であり 壁3の父である 壁2は壁1の鏡であり 囚人の記憶の崩壊過程である 壁3は果たして侏儒の動詞形たりうるか 影の都市 壁4の覗き人 壁2を裏返しエーテル星座表に顔を伏せる。

4 四畳半の天文学
  ワンが帰ってくると品川区役所五反田出張所の「はじめに在ったようにあり、そしていまでも在りつづける」係りが壁の位置を図っている。そして仮の壁としてサルトルの「壁」という本を   
  置いていく
5 もぐら叩き
  四畳半の下からワンの母親が顔を出す。付き合っている女の子についてつべこべ言い、あげく孝行、従順、愛慕、母恋・・・と叫び続ける母親をもぐら叩きで打つ
6 噂
  下宿屋の空き家に住んでいた人物について、あれこれ噂がなされる。
7 屋根裏の散歩者
  下宿屋の屋根裏に夜毎登場する屋根裏の散歩者
8 タンゴ
  往年の大スター、影山影子がフィルムも入っていないカメラを前に「鉄路の情熱」を演じる
9 頭足人
  五反田の他人同士が失われた壁を探して歩き回る
10 リヤカーの惑星
  保健所員がいらない用済み年寄りを引取りにくる
11 遊戯療法
  患者が遊戯の規則に則って医者ごっこをしている
12 間奏曲
   囚人が絵に描いたドアを押すと、本当にひらいてしまう・・・
13 行きすぎよ、影
   キチガイの俳優達がピストルを放つと事実が死ぬ
14 ラッテンケーニッヒ
   鼠のような黒帽の他人たちが蠢く
15 夢のネズミ算
   母親は息子を自分の夢の中に落っことしてしまう。しかしその母親の夢にも見知らぬ人が訪れて・・
16 死都
   
   王 「世界の涯とは、てめえ自身の夢のことだ」と気付いたら、思い出してくれ。おれは出口。おれはあんたの事実。そしておれはあんたの最後のうしろ姿だってことを。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・出口は無数にあったが、入り口がもうなくなってしまったんだ






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