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ガラスの動物園

暫くブログを休んで、文字から離れていた。音楽だけに集中したら、それは音楽を嫌いにさせる暴挙だったらしい、根が怠け者だからだろうか、私はセロ引きのゴーシュを思いながら疲れていった。精神安定剤的に必要なのは自分自身から紡がれるイマジネーションで、音も文字もそこから勝手に溢れるのだ。少し長めの文章を書いたら大分心が落ち着いた。自分が信じるようにやればいいと感じる。


マレーシアからシンガポールに行く電車の中でテネシーウィリアムの「ガラスの動物園」を読みきった。それからというもの、私のまなうらにも炎が点って、誰かそれを吹き消してください・・・という気持ちになったのだ。その炎は執拗に追いかけてくる影のようなもので、其れが故にテネシーも書くし、私も書くのだろう。本当に素晴らしい戯曲だ。そういえば影が旅するっていうホフマンの話があったっけ。あれは何かぞっとした。


ブログを休んでいる間にオバマ氏が当選した。この選挙には一年前ぐらいから注目していた、まだヒラリーとオバマの対立の行方が見えないころ。この選挙前にはクーリエジャパンを買ってきて、その詳細を追っていた。なぜか心を打ったのはブッシュ退陣の影を書いた記事で「歴史が彼をジャッジするだろう」という言葉だったが。


私が小学校の時、よく読んだ物語の一つが「アンクルトムの小屋」だ。パンの袋に書き綴られアメリカ市民の心を動かした黒人奴隷の物語。「ぼっちゃん、ようがですが、」みたいな田舎鉛に翻訳された児童文学全集は土臭く、皮膚のひび割れと底辺の匂いがしていた。中学校の時はキング牧師の演説を暗記させられた、それからリンカーンの演説も、高校のときは「風と共に去りぬ」が友人の一番のお気に入り映画であった。コルセットをぎゅうぎゅうに締め付けて、奴隷制を背後に陽気に踊る南部娘。


そうして大学になるとKKKのことや、暗い部分だけではなくモータウンだとか、サッチモとか、ジェームスブラウンが「black is beautiful」と絶叫しているライブとか、歌の上手い歌手の5本指には入る気がするアレサフランクリンだとか、アフロブームとか色んな情報が交錯するように入ってきて。最近では以前から勧められていた「マルコムX」の映画を見たし・・・・でも私のアフリカンアメリカン史の始発は「アンクルトム」で、そうして私が生きている間になんとオバマが合衆国大統領に上る歴史的瞬間に立ち会えたのだ。奇しくもリーマンの倒壊にはじまる恐慌の予感というこれも歴史に残りそうな大事件の後で。


そうして、筑紫さんが亡くなったのも大きな事件だった。ニュース23はちょうど筑紫さんが闘病のために番組を離れることになった頃にネット配信を定期的に見始めた。私は23における彼の不在感から彼の存在感を強く感じ始めるということになった。彼の存在感はこの日本にとって大きかった。ときとして不在感は存在感よりでかいのだ。忘却という人間の便利な道具を使わなければ。


ところで今のところ最も私を挫折させてくれる二つのバンドの練習であるが、昨日テロルゲストボーカルのレイナさんに来てもらって歌ってもらったら、忘れていた何かを思い出しそうになった。それは表現をする上で動機になるようなエモーショナルなもので、そこへ突き動かす種類の何かだと思う。それは「ガラスの動物園」のラストに出てくるトムの心に燃えるローラの消えない炎かもしれない。彼女に歌ってもらって思い出したものがあるのは彼女の才能ゆえんだろう。才能とは実は皆がここと思っている場所にはない。もうすぐそのテロルライブとそして前にも書いたsoi+4というバンドのライブがある。soi+4はこだわりのある良質で実直なバンドだ。比べればテロルは破天荒だろう。どちらも炎が消えないようなライブに出来たらよいのに。


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