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花の影 チェン・カイコー

東洋の映画というのは西洋の映画に比べ質的に低い部分があると思うが、それでも真似できない独特の匂いがある。エキゾチズムというか、インド哲学から来る死の身近さというものなのか・・・。この映画もアジアの独特の気配を醸す映画である。監督は「さらば、わが愛/覇王別姫」で一躍世界に名をしらしめた中国を代表するチェン・カイコー。おそらく世界で最も有名なカメラマンの一人でありウォン・カーフェイのもとで「恋する惑星」などを撮った、クリストファー・ドイルをカメラマンに起用。流れるような映像美、中国独特の色使いをなぞる画面は香を焚き染めたような不可思議な雰囲気がある。


角川エンタテインメント
花の影

1911辛亥革命で清王朝が崩壊し中華民国が成立した後の1920年の蘇州。富豪パン家の御曹司に嫁いだ姉の面倒を見るため忠良は蘇州の大家にやってくる。そこには旦那様の娘である如意とその遊び相手である端午がいる。忠良は姉からの性的な虐待を受け(この辺りの描写はぼかされている)若旦那に砒素入りの阿片を用意して、屋敷を逃れる。忠良は上海に逃れ、そこで上海マフィアのボスの寵愛を受け、女を騙して金をせしめるジゴロに身を落とす。ある時、ボスから大家の女をものにするように告げられる。その女とは昔、忠良が逃げた蘇州のパン家の娘、今は当主になっている如意であった。忠良は如意に罠をしかけるが、如意の傲慢で、一本気な純潔さに気おされていく。如意は忠良を愛し、自分の魅力が足りないのは女ではないせいだと考え、使用人の端午に自分と寝るように命令ずる。忠良は如意を愛するが、そのまま屋敷を後にし上海へ戻る。上海のクラブまで追いかけてきた如意だったが、忠良がもう愛していないと告げると冷めた目をして去ってしまう。忠良は耐え切れずに蘇州へ戻るが、如意にはすでに婚約が決まっていた。忠良は昔、義兄に渡した砒素入り阿片を如意に渡し、如意を廃人にしてしまう。


陳 凱歌, 葉 青
花の影


大家の娘である如意の一本気の傲慢と捨て身の愛情、傷つきすぎて何も感じなくなった忠良、如意への思慕とその虐げられた身分ゆえの屈折が愛憎に変わっていく端午のその微妙な感情のすりあわせがたおやかに渦巻いている。蘇州は長江の南に位置する都で、古くから絹織物で栄え、マルコ・ポーロに東洋のベニスと呼ばれた風光明媚な土地柄。水のゆらぎ、櫂の音、船の滑る様子が静かな悲しみを称えている。おそらくはパン家も絹織物で富裕した大家で如意が豪勢な絹織物を惜しげもなく注文するシーンなどもある。如意が自転車の練習をするところや、大きな提灯をいくつも捧げた埃っぽい部屋で忠良と出会うシーン、忠良に片方のピアスを奪われて、もう一つを黙って差し出すシーンなど、心に残るシーンがいくつもある。とりわけ如意が廃人になって使用人が立ち並ぶ屋敷の長い廊下を車椅子に乗せられ通ってくるラストは救いのなさが衝撃的。

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