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フロルヴィルとクルーヴァル、または宿命 マルキ・ド・サド

時折落とし穴に落っこちるように人間不信や自信喪失が急激に訪れて、うめき続けたり、シンセ前に何時間も座り続けたり、ベットから離れられなかったりする。心臓が雑巾みたいにたわわにねじれるし、心の中にモサモサするでかい虫がいるんじゃないかと思う。殺虫剤飲みたい。関係ないけど、ピンク・フロイドに「狂気」ってアルバムがあった、久々に聴きたいな。だいぶマシになった頃に座長が心配して串カツ屋に連れてくれた。所詮、単細胞なので餌をもらうと機嫌がなおる・・・ということを理解なさっている・・・。こうやって生きておられるのも、何も何もみなさんのおかげだ。下見て歩かなきゃいけないなと、更につまずくやん・・・。何やらこのほど・・・というより常より情けない。


一昨日は座長の誕生日、昨日は師匠の誕生日。そうして明日は祖父の命日。母方の祖父は厳格で、机の上にチリ一つ、シーツの皺ひとつ許さず、毎日同じ時間に起床氏し、数分狂わず同じ時間にテーブルについた。広い家にチリ一つ許さず、家から玄関まで延びる長い階段の落ち葉も気に食わなかった。食事の時間は遅くてもはやくてもいけなくて祖母の苦労は耐えなかった。死ぬ間際まで辞書を片手に、中国や日本の歴史書を読みふけり、小学生だった私に分厚い三国志を与え、古い日本語のそれを読めずにいた私に、高校生になってからも「あれを読んだか?」と質した。父方の祖父は放蕩でお坊ちゃん。手妻と呼ばれる和式マジックしかなかった日本に洋行して西洋のマジックを持ち帰った、「四つ玉マジック」という本まで出版したらしい。ステッキを持ち黒塗りの車の前でポーズを決める粋なおじい様の写真を見たことがある。浪費癖で我侭、果ては貧乏生活。こちらも祖母の苦労が耐えなかったようだ。とはいえ、二人とも嬉嬉として夫に従い、女は苦労させた方がよいという数々の書物の皮肉を具現してたような形だ・・・女もなにやらかなしい


会社の同僚がサドの「恋の罪」を貸してくれた。近親相姦、親殺し、子殺し・・・といったドロドロの本をなぜ新婚早々幸福な彼女が選んで貸してくれたのか、対して私が不倫の勧めのような三島の「美徳のよろめき」を貸してしまったのか・・・・。


心がやさくれているので、会話における一文の長さにイライラする。1告白10ページ・・・そんなには長く喋らんでしょう・・・・いくら今の世の中「てにをは」消えて単純化されたとはいえ・・・本当に19世紀はこんなに長く喋っていたのか?一時期、夢中だったサドやらコクトーやら、ラディゲ、ユイスマンス、そんな類はめっきり読まなくなったので、出だしは違和感がある。でも何が面白いって、この魔術的な夢幻つらつら感が面白いのだ。「フロルヴィルとクルーヴァル、または宿命」はフロルヴィル嬢が是非我妻にと所望するクルーヴァル氏に今までの半生を告白するお話。やがて、彼女が彼女の知るところではなかったが、彼女が昔恋人にした男は自分の兄で、自分が心ならず殺してしまった男は彼との間に身ごもった自分の息子で、自分が死においやってしまった女は母で、現在自分が夫とするクールヴァル氏は自分の父であるということを知る。残酷な血の真実を知り、自害を遂げるというお話。愉楽に耽ったものが安らかに死んでいくに対して、清く精神を保った女は最後まで自らの徳業なしとげなかったことに後悔しながら死んでいく。そんなエピソードもあり、オイディプスのような宿命への絶対恐怖がある。最後の一文を書き記す。


「二人の双方に悲しく辛い一生が与えられたのは、二人ばかりかこの痛ましい物語を読む人びとにも、人間が心の安らぎを見出せるのは墓の暗闇の中でしかないことを得心させるためにほかならない。同胞の悪意、情熱の錯乱、そしてなによりも人の境遇につきまとう宿命を思えば、人間がこの世で平安を得ることなど永久にないからである」


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