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バナナフィッシュにうってつけの日

ユダヤ人だったサリンジャー

名門高校を成績不良で中退したサリンジャー


「ライ麦畑でつかまえて」で、

何が望みかって聞かれた、青年ホールデン・コールフィールドは


「ライ麦畑で遊んでいる子が、崖から落ちそうになるのを受け止めてやる人になりたい」

と答える。

この小説が毎年50万部売れ続ける、サリンジャー


ノルマンディー上陸作戦に参加し、精神を病み軍の病院に収容された兵士、サリンジャー。

今はニューハンプシャーで2メートルもの高い壁に囲まれ、沈黙を続ける作家、サリンジャー。

?

心のやさしさと、弱さと、軽薄さが同じであることを書き、世界の若者の心を突き動かした作家、サリンジャー。

病めるアメリカで、物や金の豊かさではなく、ほんの少し人への哀れみや静かな憧憬を持ちたいと考えた作家、サリンジャー。

疲労と自意識、孤独とやさしさ。

アメリカに「果敢なさ」という言葉を教えた作家、サリンジャー。


そんなサリンジャーが1948年に発表した「バナナフィッシュ日和」(ナイン・ストーリーズ)。

サリンジャー作品にしばしば登場する、グラース家。その長男、シーモアが自殺する。


ホテルで女性ミュリエルは母親に長距離電話をかけている。母親はミュリエルと、一緒にいるシーモアについて案じている「あなた、大丈夫なの?」と何度も聞く。とり止めもないお喋りと、深刻になる予感のするお喋りがまじりあっている。


シーモアは海辺で少女シビルを相手にバナナフィッシュというサカナの話をする。シビルを浮き袋にのせて、海の中で沖に向けて静かに押しながら


バナナがどっさり入っている穴の中にはいっていって、バナナを平らげすぎたバナナフィッシュは、肥ってしまって、二度と穴からは出られなくなる。と話す。その瞬間、シビルは海の中にバナナフィッシュを見たという。驚くシーモアはシビルの土踏まずに接吻する。


シーモアはローブを羽織り、その襟をぴったり合わせると、ホテルに戻る。エレベーターでシーモアは同乗した女性に話しかける。


「あなた、ぼくの足をみてらっしゃいますよね」

「何ですって!あたしは床を見ていたんですよ」

「僕の足が見たかったら、そう言い給え」「しかしコソコソ盗み見るのはごめんだな」

女はエレベーターをあわてて降りる

「ぼくの足は二つともまともな足なんだ。他人からじろじろ見られるいわれなんかあるものか」とシーモアは言う。


それから彼は部屋に戻り、眠っている女を横目に、自動拳銃を取り出し、眺め、弾倉をはめ込み、撃鉄を起こして、ツインベットの女の傍らで、右のコメカミを打ち抜く。








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